FAMILY'S INTERVIEW 武雄で暮らす人々

安定の銀行員から、武雄へサウナ移住!?篠原諒さんが選んだ「好きを仕事にする」という生き方。 イメージ1

安定の銀行員から、武雄へサウナ移住!?篠原諒さんが選んだ「好きを仕事にする」という生き方。

2026.02.22

武雄の豊かな自然のなかに誕生した、心と体を整える拠点「OND PARK(オンドパーク)」。ここでマネージャーとして、施設の運営から現場の指揮まで一手に担っているのが、埼玉県出身の篠原諒さんです。

10年勤めた東京の銀行という安定したキャリアを離れ、縁もゆかりもなかった武雄の地へと飛び込んだ篠原さん。その決断の裏側には、一人の「サウナー」としての情熱と、数年をかけて育んだ不思議なご縁がありました。

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授業中は「体力を温存しろ」!? サッカー漬けの学生時代

生まれも育ちも、埼玉県の坂戸市。「武雄と同じくらいのどかな田舎町です。」と笑う篠原さんの原点は、サッカーにありました。

進学校として知られる西武文理高校に、新設されたばかりのスポーツ推薦クラス2期生として入学。部活の顧問が担任という環境で、まさにサッカー漬けの毎日を送ります。

「『授業中は体力を温存しろ』と先生から言われるほど部活に心血を注いでいました。県大会でベスト8まで進んだ経験は、今の自分の根性を支える土台になっています。」

その後、指定校推薦で成城大学へ進学。その理由は、小中高とずっと一緒にプレーしてきた友人が成城大学へ行くと聞いたことでした。

「そいつが行くなら、俺も行こうかなって(笑)。担任の先生からも『ビルばかりの大学よりも、広い中庭で友達とふざけ合うようなキャンパスライフを送りたいなら成城がいいぞ』と背中を押されました。」

親友と一緒に世田谷まで片道1時間以上かけて通う日々。「めちゃくちゃ楽しいキャンパスライフが送れそう!」という、男子高校生らしい等身大で真っ直ぐな動機が、彼を新たなステージへと運びました。

自己分析ゼロからの大逆転!?「ご縁」で掴んだ銀行の内定

成城大学での生活を謳歌し、迎えた就職活動。しかし、篠原さんはここでも「等身大」すぎるスタンスを貫いていました。

「実は、就活は全然真面目にやっていなかったんです。自己分析もしていなくて、バイト先の先輩から『お前、就活の軸とかあんの?』と本気で心配されるくらいでした。」

そんな篠原さんに救いの手が差し伸べられます。アルバイト先の同僚だった女性の父親が、偶然にも銀行の採用担当者と繋がりがあったのです。トントン拍子に面接が進みましたが、最終面接のあとに10日間ほど連絡が途絶えます。

「落ちたな、と思っていたら突然呼び出されて。『書類に名前書いて』と言われて見たら内定通知書でした。あの空白の10日間は、おそらく辞退者が出たあとの補欠だったんじゃないかな(笑)。」

飾らない人柄と、不思議と人を惹きつける「ご縁」の強さ。唯一の内定をもらったこの銀行で、彼の波乱万丈な社会人生活が幕を開けます。

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警察官40人が出動!銀行員時代の「伝説の大失敗」

入行後は融資課や外回り営業、人事部など、丸10年にわたりキャリアを積み上げました。しかし、1年目の決算日には、今だから笑える「大事件」も。

「1年目の9月末、最も忙しい日に事務作業をしていて、不要な紙を捨てようとしたら、何故か机の下の『非常通報ボタン』を誤って押してしまったんです。」

瞬く間に刑事を含む約40人の警察官が銀行を包囲する大騒ぎに。

「翌日、支店長と副支店長が警察署長へ謝罪に行きました。あの時の生きた心地がしなかった経験に比べれば、今の現場で起きるトラブルなんて……と思える強さが身につきましたね。」

運命を変えた、真夏の「ととのい」体験

銀行員として多忙な日々を送るなか、篠原さんの人生を大きく変える出会いがありました。それが「サウナ」です。

きっかけは、銀行のサッカー部の試合帰り。猛暑のなかヘトヘトになり、アイシング代わりに寄った銭湯で、初めてサウナと水風呂の交代浴を試しました。

「上がった後の爽快感が衝撃的で……。『サウナってこんなに気持ちいいのか!』と。そこから週4回は通うガチのサウナーになりました。」

趣味として通ううちに、サウナは単なるリフレッシュを超え、彼の生活の核となっていきました。

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数年の交流が実を結んだ、サウナが繋いだ「社長との縁」

武雄移住のきっかけは、銀行時代の同期であり親友でもある男性でした。その同期が転勤先で知り合ったのが、後に篠原さんの上司となる「現在の社長」だったのです。

「サウナ好きの面白い人がいる」という紹介から始まった交流は、数年にわたりました。栃木のアウトドアサウナへ一緒に足を運んだり、東京で定期的に飲みに行ったり。サウナという共通の趣味を通じて、じっくりと信頼関係を深めていきました。

銀行員として丸10年が経ち、30代という節目で今後のキャリアを再考していたタイミングでした。サウナ仲間として親交を深めていた社長から、「今度、武雄にサウナ施設を作るんだ。来る?」と、冗談交じりの軽いトーンで声をかけられます。

社長にとっては酒の席での軽い冗談だったのかもしれません。しかし、日頃の付き合いから社長の人柄や手腕を信頼していた篠原さんにとって、その言葉は不思議と「ピンとくる」ものでした。「これは本気で面白そうだ。やってみたい。」冗談めかした誘いが、篠原さんの心に静かに火をつけたのです。

その後、まだ工事中だった武雄の現場を訪れ、会長や社長の熱い構想を直接聞いたとき、篠原さんの心は完全に決まりました。「サウナがつなげてくれたこの縁を信じて、ここで勝負してみよう。」

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「サウナーとして役に立ちたい」即決した武雄移住

「サウナーとして役に立ちたい。まずは5年やらせてください。」

会長への面談でそう告げ、安定した銀行員という肩書きを置き、2024年7月に武雄へ移住。

9月のオープンまでは怒涛の日々でした。予約システムすら決まっていないなか、スタッフをまとめ上げ、現場を整えていく。銀行員時代の管理能力と、サッカーで培ったチームワークが、大きな武器となりました。

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これからの野望

現在は、植物の枝葉を使って体を癒やすリラクゼーション「ウィスキング」のプログラムも本格始動しています。

「まずはOND PARKを、全国からサウナ好きが集まる聖地にしたい。そして将来的には、地元・埼玉にもここで学んだサウナ文化を還元したいという野望を持っています。」

元銀行員の緻密さと、サッカー部仕込みの熱量。篠原さんが情熱を注ぐOND PARKのサウナは、今日も訪れる人々の心と体を、心地よく「ととのえて」います。

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武雄そしてお結び課について

ー 武雄市ってどんなところ?

武雄は「めちゃくちゃいい田舎」
移住して1年半が経ち、篠原さんは武雄の魅力をこう語ります。

「一言でいうと『めちゃくちゃいい田舎』です。自然豊かでご飯も美味しいし、人は温かい。車を10分走らせれば何でも揃うし、福岡へのアクセスも抜群。朝に運動して、サウナに入って、図書館で仕事をする。都会だとどこも人が多くてこんな生活はできない。最高の環境だと思います。」

ー 武雄市のおすすめのスポットは?

お気に入りのスポットは、自社のサウナはもちろん、パワーをもらえる樹齢3000年の「武雄神社の大楠」。飲食店では「後楽園」や「かま蔵うどん」がお気に入りです。

武雄市は市役所の方も気さくで、移住や子育ての相談にも親身に乗ってくれる街。「疲れた時には温泉やサウナもあるので、ぜひ!」と語ります。

 

INFORMATION

OND PARK マネージャー 篠原諒
SAUNA,STUDIO,CAFE,CAMPサイトを内包した施設として、武雄温泉保養村内にオープン。
“武雄の恵みで、心と身体を整える コンセプトパーク”をコンセプトに、SAUNAの他にもさまざまなアクティビティが揃います。

OND SAUNA
「2025年度グッドデザイン賞」、世界的な建築賞「Architizer A+Awards 2025」のSpa & Wellness部門 「Popular Choice Winner」世界1位を受賞

instagram:
@ond__camp / @ond_sauna / @ond_cafe / @ond__studio / @ond_hotel / @ond_restaurant

 

編集後記

安定したエリートコースからの転身。一見大胆な決断に見えますが、篠原さんのお話を伺っていると、サウナを通じて育んだ人間関係が、ごく自然に彼を武雄へと導いたように感じました。武雄の地に現れた、熱い篠原さんの次なる一手が楽しみでなりません。

取材・撮影:落水恒介