FAMILY'S INTERVIEW 武雄で暮らす人々

コーヒーの香りがつなぐ、武雄の「場」の作り方。ギフトショップから始まった『coffee shop 喜蔵』原田さんの歩み。 イメージ1

コーヒーの香りがつなぐ、武雄の「場」の作り方。ギフトショップから始まった『coffee shop 喜蔵』原田さんの歩み。

2026.02.08

武雄温泉の楼門からほど近い場所に、ふわりとコーヒーの香りが漂う場所があります。自家焙煎珈琲店『coffee shop 喜蔵(きぞう)』。店主の原田さんは、ある時は焙煎士、ある時はスパイスカレーの研究家、そしてある時は商店街の会長としてなど、この街の「顔」の一人を担っています。

しかし、その道のりは決して「カフェを開きたい」という動機から始まったわけではありませんでした。

今回は『coffee shop 喜蔵』店主の原田さんにお話を伺いました。

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「生き残るため」の転換、そしてコーヒーとの出会い

原田さんのキャリアは、家業の酒屋から始まります。高校卒業後、静岡や大阪の専門店で修行を積み、バブルの熱気が残る20代前半に武雄へ戻ってきました。

「当時の酒屋が生き残る道は、24時間営業のコンビニになるか、薄利多売のディスカウントショップになるか。その二択に近い状態でした。でも、この人口の少ない街でそれは持続可能じゃないと直感したんです。」

そこで原田さんが選んだのは、贈答品を扱う「ギフトショップ」への転換。お酒の包装技術や親和性を活かした現実的な選択でした。そして、そのギフトショップでお客さまを待たせる間の「おもてなし」として出した一杯のドリップコーヒーが、すべての始まりでした。

「お茶を出すよりも、コーヒーの方が会話が弾むんですよね。自分で焙煎を始めてみたら、それが実験みたいで面白くて。気づけば、コーヒーそのものを求めてお客さまが来てくれるようになっていました。」

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朝市からキッチンカー、そして武雄温泉通りの実店舗へ

20年前、40歳で本格的に焙煎機を導入。当時はまだ珍しかった「自家焙煎のコーヒー屋」として、武雄の朝市に出店すると、瞬く間に口コミが広がりました。

「ブログやSNSが普及し始めた時期で、『面白い店がある』と一気に拡散されました。その後、ワーゲンバスを改造したキッチンカーで移動販売も始めたことから、珈琲の専門店として実店舗を構えることを決めたんです。」

ちょうど、朝市の会場でもあった温泉通りの空き店舗を紹介され「coffee shop 喜蔵」は誕生しました。

現在、店ではスパイスカレーやホットサンドも提供していますが、原田さんの軸はぶれません。「あくまでここは、コーヒー豆を売るための店。食事は、コーヒーを楽しんでもらうための入り口なんです。」

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1人1分。言葉が交わされる「朝飯会」

現在の『coffee shop 喜蔵』は、単なる飲食店を超え、地域のコミュニティハブとしての役割を強めています。

月に一度開催される「朝飯会(あさめしかい)」。年齢も職業もバラバラな人々が集まり、カレーを食べながら一人1分のスピーチを行います。

「全く知らない人同士が、言葉を交わすきっかけを作りたい。この街に新しく来た人も、昔からいる人も、フラットに繋がれる場所でありたいんです。」

元日以外は毎日店を開け、時代の変化に合わせて柔軟にスタイルを変えてきた原田さん。

「これからも、その時々に求められることを、面白がりながらやっていきたいですね。」

武雄の街に根を張り、コーヒーの香りと共に新しい縁を紡ぎ続ける。そんな原田さんのいる『喜蔵』は、今日も街の温度を少しだけ上げています。

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武雄そしてお結び課について

ー 武雄市ってどんなところ?

武雄は、いい意味で「壁」がない街。

長年、温泉通り商店街の会長を務め、街の変化を見守ってきた原田さん。移住を検討している世代に向けて、武雄の魅力をこう語ります。

「武雄は、よそ者に対する壁が本当にない街です。非常にウェルカム。生活の利便性で言えば、中心部なら車がなくても困らないし、新幹線や高速道路のおかげで福岡や長崎へのアクセスも抜群にいい。」

さらに原田さんが強調するのは「教育環境の質の高さ」です。

「教育熱心なご家族が、あえて武雄を選んで移住してくるケースも増えています。多様なバックグラウンドを持つ親子が集まることで、街に新しい刺激が生まれているのを感じますね。」

ー 武雄市のおすすめのスポットは?

道の駅山内「黒髪の里」。採れたての新鮮な地元野菜が買えるので是非足を運んで欲しい。

 

INFORMATION

coffee shop 喜蔵
Web site https://www.kashimacity.com/introduction/878/
instagram @coffeeshop_kizou_takeo

 

編集後記

原田さんが世界各国から厳選したコーヒー豆、全ての豆を手作業で分別し、悪い豆や細かなゴミを取り除く「ハンドピック」という作業をされて、良質な豆だけを販売しています。武雄温泉の散策ついでに、ぜひ立ち寄ってみてください。

取材・撮影:落水恒介