1300年の歴史を持つ温泉や、樹齢3000年の大楠が静かに佇むこの街のストリートに、ひときわポップで活気あふれる場所があります。
ハンバーガーショップ『TKB AWARDS(ティーケービー・アワーズ)』。
オーナーの中村武さんは、某ハンバーガーチェーン店の店長を約10年経験した後に、東京でラッパーとして活動し、某大手レコードショップでバイヤーなどの経験の後、実家の精肉店を継ぐために帰郷したという異色の経歴の持ち主。「武雄が大好き」と屈託なく笑う中村さんに、店名に込められた意外な由来から、この街で遊び、暮らすことの豊かさについて伺いました。
「TK BEATS」から「武雄(TK)バーガー(B)」へ
「実は『TKB』って名前、後付けなんですよ。」
そう言って笑う中村さん。20代の頃は音楽、特にヒップホップにのめり込み、仲間たちと10人で上京。プロのビートメイカーを目指し、ご自身の名前でもある武(たけし)から文字をとって「TK BEATS(TKB)」の名で活動していました。
「30歳を目前にしての挑戦だったので、周囲には止められました。でも、自分の人生。やりたいことに蓋はしたくなかった。東京での日々は挫折もありましたが、今の自分を作る大きな糧になっています。」
父の他界をきっかけに帰郷し、祖父の代から続く精肉店を継承。卸売の傍ら、店先でハンバーガーを焼き始めたのが2010年のことでした。
「最初は『TK BEATS』の名をそのまま使っていたんですが、ハンバーガー屋として定着していくうちに『武雄(TK)バーガー(B)』でいいじゃん!って(笑)。」
子供たちの笑顔が、親の幸せに繋がる場所
TKBの店内を一歩踏み上げると、アメリカンでポップなフィギュアやインテリアが目を楽しませてくれます。そこには「子供たちが楽しめる場所にしたい」という中村さんの強い想いがありました。
「ハンバーガーショップって、少し大人びたイメージがあるかもしれない。でも、うちは子供だけでも気兼ねなく来られる場所にしたいんです。子連れのパパママも大歓迎。トイレにおむつ替え台を設置したり、待ち時間に退屈しないよう折り紙を置いたり。子供が楽しそうにしていれば、親御さんも自然と笑顔になりますから。」
食の安全や美味しさはプロとして当たり前。その先にある「楽しかったね」という体験を持ち帰ってもらうこと。それが、中村さんが最も大切にしている「おもてなし」の形です。
武雄という街の「ちょうどよさ」とクリエイティブ
中村さんは「武雄」というアイデンティティを誇りにしています。
「昔から『地元をレペゼン(代表)する』という意識が強かった。ミュージックビデオを武雄温泉の楼門前で撮ったりね(笑)。武雄は、生活に必要なものは揃っているし、何より人が優しい。外から来た人を疎外しないアットホームな空気感があるんです。」
中村さんが語る武雄の魅力は、その「平和さ」と「クリエイティブな余白」。
「ないなら自分たちで作ろう、という面白い仲間がたくさんいます。農業やサーフィンを楽しみながら30年以上続くクラブカルチャーを守るタフな先輩がいたり(笑)。不便さを楽しむ余裕がある、本当に『ちょうどいい街』なんです。」
50歳を過ぎても、常に新しいことに挑戦!
現在52歳の中村さん。最近のマイブームを尋ねると「盆栽です!」と意外な答えが返ってきました。
「50歳を過ぎてから、毎年一つ『未経験の新しいこと』に挑戦すると決めているんです。盆栽は、誰かが長い年月をかけて紡いできたものを引き継ぐ感覚が面白い。歴史に触れることで、自分の視点も少しずつ変化している気がします。」
そんな中村さんの次なる野望は、さらに「スロー」な空間を作ること。
「今は週末になると席が足りないほど忙しいのですが、将来的には古民家のような場所で、ペットも一緒に過ごせて、夜にはDJイベントもできるような、自由でゆったりとした場所を作れたら最高ですね。」
武雄そしてお結び課について
ー 武雄市ってどんなところ?
「武雄は本当に平和な街。ぜひ一度、遊びに来てみてください。この街の温度感を、きっと気に入ってもらえるはずです。」
ー 武雄市のおすすめのスポットは?
武雄温泉から武雄図書館、そして武雄神社の大楠へと続く一本のストレートライン。
その道沿いに「TKB」があります!!
INFORMATION
TKB AWARDS
instagram @tkbawards
YouTube 紹介動画
編集後記
元ラッパーでハンバーガー屋のオーナー。一見尖ってそうですが、実際にお会いした中村さんは、誰よりも武雄を愛し、子供たちの笑顔を願う最高に温かいアニキでした!「レペゼン武雄」を掲げつつ、今は盆栽に夢中というギャップも素敵すぎます。中村さんが焼く肉の香りと、あの自由な空気感。これこそが武雄の「平和」の正体なんだな、と感じた取材でした。
取材・撮影:落水恒介